『人民の星』 5398号4面

米国の血塗られた戦後史 絶えぬ謀略と戦争 1

 第二次大戦後のアメリカの歴史は、他国にたいする謀略と戦争と人民殺りくに血ぬられ、反米斗争の高まりをうながし、孤立を深めてきた歴史である。第二次大戦末期の日本人皆殺しの都市爆撃から、アフガニスタンやイラク戦争にいたる、アメリカの謀略と戦争に血ぬられた歴史を何回かの連載にまとめてみた(特徴的な事例だけで、すべてをとりあげてはいない)。
全世界で反米斗争促す
 アメリカのイラクにたいする戦争は、完全な謀略であった。イラク政府を転覆し、イラク人民を大量に殺戮し国土を破壊したあとで、アメリカのでっちあげがばれた。ところがアメリカは、イラク人民に謝罪をして撤退するどころか、軍隊のいすわりをはかり、親米のカイライ政府をつくって、侵略支配をつづけ、イラク人民はもとより全世界人民の憤激をよび、反米斗争をうながす結果となっている。
 ブッシュにかわったオバマもよそおいをかえながら、実際には、反米斗争が拡大するアフガニスタンに米軍を増派して戦火を拡大し、イランにたいしCIAや親米謀略組織、マスコミなどもつかって政府転覆活動をやり、中南米のホンジュラスでは軍事クーデターをひきおこし、中国のウイグル自治区で大規模な争乱を背後から煽動している。オバマは就任いらい半年だが、世界の各地で凶悪な謀略をしくみ、帝国主義の戦争放火者として正体を暴露している。

日本全土が戦場に 殺された50万余の非戦斗員
 戦後の日本でいわれてきた「第二次大戦で日本は沖縄をのぞいて戦場にならなかった」という論調は、事実に反している。アメリカ軍の焼夷弾爆撃や銃撃、砲撃などで本土でも五〇万人以上が殺されており、アメリカが戦後、日本人民の怒りのほこ先からのがれるため、真実を封殺するためにやった謀略宣伝のひとつである。
 アメリカの支配階級は、第二次大戦後に世界に覇権をうちたてる野望から、日本を完全に支配してアジア・中国侵略の基地とするため、天皇をはじめとする支配階級の反米の牙を抜きさり屈服させるため、徹底して日本の諸都市を爆撃し破壊し、主要な海峡に機雷を敷設して海上輸送を攻撃し、日本人民みな殺しをすすめた。
 アメリカは「真珠湾の報復」を口実とし、東京大空襲など全国九四の都市にたいして無差別爆撃をくりかえし、死者だけで二六万人をだしている。日本全国の一〇〇カ所近くが、米軍の一方的攻撃による殺戮をうけ、無残な戦場にされたのである。
 都市空襲は、事前に日本の住宅地域とおなじ実験市街地をつくり、木造建築物を焼きつくすために、もっとも効果的な焼夷弾を開発し、非戦斗の年寄り、女、子どもが圧倒的だった住民の生活区域に、逃げ場をあたえないように夜間をねらい、周辺に火の壁をつくってから中心部を爆撃するという方法まで研究し、明白に皆殺しをねらっていた。
 しかもこの攻撃は、すでに日本の敗北が決定的となった時点で、すなわち制海権も制空権もうばい海上輸送を封鎖し、鉄道を寸断し、まともな反撃の手段ももたず、毎日の食事すら満足にできない人人をねらいうちにしており、きわめて非人道的な攻撃であった。
 また、沖縄戦でアメリカは空母四〇隻、戦艦二○隻を中心に艦艇約一五〇〇隻、兵員五四万八〇〇〇人を投入し、「鉄の暴風」とよばれる無差別攻撃をくわえ、上陸後も徹底した皆殺し作戦をすすめ、軍人の死者九万人をはるかにうわまわる一五万人以上の非戦斗員を殺した。

原爆投下を正当化 オバマも謝罪していない
 さらにアメリカは、ソ連の参戦がまぢかにせまった八月六日には広島に、つづいて九日には長崎に原爆を投下し、一瞬にして二五万人以上を虐殺した。被害はそのときだけにとどまらず、その後の一○年間だけでもさらに一〇万人が犠牲となり、生きのこった人たちを半世紀にもわたって原爆症でくるしめてきた。
 原爆投下は歴史上で最大の「人類にたいする卑劣な攻撃」であり、「原爆投下はただしかった」としてなんの反省もないアメリカこそ「人類の敵」である。オバマは「核廃絶をめざす」と売りこんでいるが、広島、長崎への原爆投下を正当とし、謝罪もせずに、核廃絶を口先でとなえるというのは、まったくのペテンである。
 戦後に米日反動派は、「日本は戦場にならなかったが、アジア各国は日本の戦火をうけて多大な被害をうけた」と宣伝した。だが、以上の実際がしめすように、日本は敗北がはっきりし反撃の手段をほとんどうばわれた時点から、アメリカによって一方的に戦場にされたのであり、日本全国の老若男女が計画的な皆殺し作戦の的にされ、死者だけで五〇万人をこえる犠牲者をだしているのである。この真実をおおいかくす米日反動派の謀略宣伝は、徹底的にうちやぶらなくてはならない。
(つづく)




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